「このミステリーがすごい!2021(第20回)の作品を全部チェックしたい!」
「一覧でまとめている記事はないのかな?」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、このミステリーがすごい!2021年(第20回)の結果を、部門ごとに、ノミネート作品も合わせて紹介します。
- このミステリーがすごい!2021年の1位〜10位
- 翻訳小説部門1位〜3位
- 発掘部門
それでは見ていきましょう!
『このミステリーがすごい!』は、宝島社が1988年から発行しているミステリー小説のガイドブック兼ランキングで、略称は「このミス」です。
毎年「国内編」と「海外編」のベスト10を発表しています。選定は複数の識者による投票形式で行われ、公平性を保つために宝島社刊行作品は以前は対象外でしたが、2021年以降は対象に含まれています。
また、この企画から派生して、2002年には新人公募の文学賞「このミステリーがすごい!大賞」も創設されました。こちらは、ミステリー要素を含めた幅広いジャンルの未発表作品を対象とし、新人作家のデビュー支援を目的としています。書評家が個性や設定などの魅力に注目して選考する点も特徴です。
このミステリーがすごい!2021年〈国内ベスト10〉結果まとめ

まずは、このミステリーがすごい!2021年〈国内ベスト10〉を紹介します。
先に結果一覧をお見せしますね↓
順位 | 作品名・受賞者 | \無料体験で0円/ オーディブル対象 |
---|---|---|
1位 | たかが殺人じゃないか (辻真先) | – |
2位 | 透明人間は密室に潜む (阿津川辰海) | – |
3位 | Another 2001 (綾辻行人) | – |
4位 | 法廷遊戯 (五十嵐律人) | 0円で聴く > |
5位 | アンダードッグス (長浦京) | – |
6位 | 楽園とは探偵の不在なり (斜線堂有紀) | – |
7位 | 欺瞞の殺意 (深木章子) | – |
8位 | 名探偵のはらわた (白井智之) | – |
9位 | 暗約領域 新宿鮫 (大沢在昌) | 0円で聴く > |
10位 | 不穏な眠り (若竹七海) | – |
1位:たかが殺人じゃないか

作品名 | たかが殺人じゃないか |
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著者 | 辻真先 |
出版社 | 東京創元社 |
年末ミステリランキング3冠
*第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編
*第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 国内部門
*第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内篇たった一年の高校生活の夏休み、
少年少女が二つの殺人事件に巻き込まれる――。
2020年のミステリ界を席巻!
レジェンドが贈る本格ミステリ、待望の文庫化昭和24年、ミステリ作家を目指している風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。学制改革による、たった1年だけの男女共学の高校生活。そんな中、勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒5名で湯谷温泉へ、中止となった修学旅行代わりの旅だった――。そこで巻き込まれた密室殺人。さらに夏休み最後の夜に、首切り殺人にも巻き込まれる! 二つの不可解な事件に遭遇した少年少女は果たして……。レジェンドが贈る、年末ミステリベスト3冠の傑作が、ついに文庫化。
読んだ感想
戦後直後の混乱した社会と青春のまぶしさを背景に、ミステリが進んでいくのが印象的でした。懐かしさと新鮮さが同居した読後感で、辻真先の巧みな語りに引き込まれました。
(30代男性)
若者たちが夢や友情を抱えながら、事件に巻き込まれていく姿が切なく胸に残りました。戦後という不安定な時代の空気がリアルで、ミステリを超えた青春小説として楽しめました。
(20代女性)
2位:透明人間は密室に潜む
作品名 | 透明人間は密室に潜む |
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著者 | 阿津川辰海 |
出版社 | 光文社 |
怒濤の展開に飲み込まれる快感に身を委ねる悦楽!
2020年のミステリ・ランキングを席巻、
「本格ミステリ・ベスト10」第1位
「このミステリーがすごい!」第2位
「週刊文春ミステリーベスト10」第2位
「ミステリが読みたい!」第3位【内容紹介】
透明人間が事件を起こしたら?
アイドルオタクが裁判員裁判に直面したら?
犯行現場の音を細かく聞いてみたら?
ミステリイベント中のクルーズ船で参加者の拉致監禁事件が起こったら?
阿津川辰海の傑作短編集がついに文庫化。
波に乗る著者が放つ高密度の本格ミステリ!読めばファン確定。驚嘆必至、必読の一冊!
読んだ感想
透明人間という設定をうまく使ったミステリで、見えないはずの犯人の動きを一歩ずつ追い詰めていく展開が面白かったです。最後に真相が明らかになる瞬間は、驚きと納得が同時にきました。
(30代女性)
ユニークな舞台や状況が次々に出てきて飽きさせない一冊でした。突飛なアイデアなのに、ちゃんと理屈で解き明かしていく流れが心地よく、満足感がありました。
(40代男性)
同率3位:Another 2001
作品名 | Another 2001 |
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著者 | 綾辻行人 |
出版社 | KADOKAWA |
始まってしまったら……人が死ぬ。何人もの人が。
多くの犠牲者が出た1998年度の〈災厄〉から三年。――春から夜見山北中学三年三組の一員となる生徒の中には、三年前の夏、見崎鳴と出会った少年・想の姿があった。〈死者〉がクラスにまぎれこむ、という奇怪な〈現象〉に備えて、今年度は特別な〈対策〉を講じる想たち。だが、クラスに広がる不安と疑心が次第に歯車を狂わせていき……ついに惨劇の幕が開く! 名手・綾辻行人が満を持して放つ、圧巻の学園ホラー&ミステリ。
読んだ感想
不気味な学園ミステリーが、じわじわと追い詰めてくるような緊張感が続きます。前作の焼き直しではなく、クラス全体が恐怖に包まれる「集団心理」の描写がリアルで響きました。
(20代女性)
シリーズとしての重厚さはそのままに、新しい犠牲者の描写もスリル満点。長さにも驚いたけれど、それに見合うだけの緻密なホラーとミステリーが詰まっていて、ラストまで飽きさせませんでした。
(30代男性)
同率3位:法廷遊戯
第62回メフィスト賞受賞!
法廷を舞台にした、衝撃と感動の傑作ミステリー法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。
二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不可解な事件が続く。
清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。
真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――?
読んだ感想
法廷ものといえば硬くて難しいイメージがあったのですが、『法廷遊戯』は私のイメージを完全に覆しました。法律という題材を、こんなにも人間ドラマとして魅力的に描ける作品は珍しいと思います。
(30代女性)
『リーガルハイ』のようなコミカルな作品ではなく、重厚なテーマを扱っているにもかかわらず、読みやすさを兼ね備えた素晴らしい小説でした。
(50代男性)
5位:アンダードッグス
世界に、牙を剥け。超弩級ミステリー巨編!
1996年、元官僚で証券マンの古葉慶太は顧客の大富豪・マッシモにある計画を強要される。
それは中国返還直前の香港から運び出される機密情報を奪取するというものだった。
かつて政争に巻き込まれ失脚した古葉は、自分を陥れた者たちへの復讐の機会と考え現地へ飛ぶ。
待っていたのは4人のチームメンバーと、計画を狙う米露英中の諜報機関だった。
策謀と銃弾飛び交う香港で“負け犬たち”は世界に牙を剥く!
直木賞候補作にもなった究極のエンタテインメント小説。
読んだ感想
香港返還直前の緊迫した空気の中、元官僚の“負け犬”が世界の諜報機関を相手に奮闘する姿に引き込まれた。予測不能な展開とテンポの良さが際立っていて、ページをめくる手が止まらなかった。
(30代男性)
主人公がまるで普通のおじさんという絶妙なキャラ設定が面白い。裏切りと銃撃、駆け引きが次々繰り広げられ、緊張が止まらない。過去と現在が交錯する構成にも後を引く余韻があって、物語から簡単には離れられなかった。
(30代女性)
6位:楽園とは探偵の不在なり
作品名 | 楽園とは探偵の不在なり |
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著者 | 斜線堂有紀 |
出版社 | 早川書房 |
二人以上殺した者は文字どおり地獄に堕とされる世界。探偵の青島を常世島で待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった
読んだ感想
孤島の館で、連続殺人が起こるという設定だけでも興味深いのに、「二人以上殺すと天使が地獄へ引きずり込む」という非情なルールが科された世界観に、読んでいる間ずっと不思議な張り詰めた空気を感じました。探偵の再起の物語としても胸に響きました。
(30代男性)
世界は変わり果て、探偵は生きる意味さえ見失っていた。でもそんな中、天使という異形に導かれた事件へ立ち向かう主人公の姿に、読んでいて何度も胸が熱くなりました。不条理なルールの中で、それでも探偵として歩き続ける強さに惹かれました。
(30代女性)
7位:欺瞞の殺意
作品名 | 欺瞞の殺意 |
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著者 | 深木章子 |
出版社 | KADOKAWA |
昭和41年。地方の資産家楡家の当主がゴルフ中に心筋梗塞64才で逝去。親族しかいない法要が屋敷で執り行われるがそこで殺人事件が起こる。長女と孫(早死にした長男の子)がヒ素で死んだのだ。調査を進めると、殺された長女の婿養子の弁護士のポケットから、ヒ素をいれたチョコレートの紙片が発見された。
「わたしは犯人ではありません。あなたはそれを知っているはずです――。」
無実にもかかわらず「自白」して無期懲役となったその弁護士は、事件関係者と「往復書簡」を交わすことに。「毒入りチョコレート」の真犯人をめぐる推理合戦は往復書簡の中で繰り広げられ――、やがて思わぬ方向へ「真相」が導いていく――。「このミステリーがすごい!」2021年版 国内編(宝島社)と「2021年本格ミステリベスト10」国内ランキング(原書房)で堂々7位のW受賞作品。A.バークリーの『毒入りチョコレート事件』をオマージュとした本格ミステリ長編。
読んだ感想
手紙のやりとりだけで物語が進んでいくのが新鮮でした。少しずつ事実が明らかになっていく流れがスリル満点で、最後の真相には「やられた!」という驚きがありました。
(40代男性)
登場人物のやり取りを読むうちに、だんだんと事件の裏側が見えてくる感じが面白かったです。誰を信じていいのかわからなくなる展開にハラハラしながら読み進めました。
(40代女性)
8位:名探偵のはらわた
史上最強の名探偵VS.史上最凶の殺人鬼たち! シリーズ新刊『名探偵のいけにえ』が「2023本格ミステリ・ベスト10」ぶっちぎりの1位獲得! 怒濤の多重解決・どんでん返しに陶酔する
全ミステリファン必読の圧倒的傑作!!
「亘くん、きみは真実を語るべきだ」農薬コーラ毒殺魔、局部切断女、そして恐怖の三十人殺し! 昭和史に残る極悪犯罪者たちが地獄の淵からよみがえり、現代日本で殺戮の限りを尽くす。空前絶後の惨劇に立ち上がった伝説の名探偵は、推理の力でこの悪夢を止められるのか? 「疑え――そして真実を見抜け」二度読み必至の鮮やかな伏線回収、緻密なロジックによる美しき多重解決。本格ミステリの神髄、ここにあり。(解説・若林踏)ーピース。
読んだ感想
設定がぶっ飛んでるけど、中身はしっかり本格ミステリ。昭和史に残る殺人鬼たちが現代に甦って憑依してくるというトンデモ展開なのに、推理の積み上げが緻密でクセになる面白さでした。浦野探偵と“はらわた”の危機感も熱かったです。
(30代男性)
最初は「なんじゃこりゃ」と思いつつも、読み進めるほどキャラとロジックの旨さに引き込まれました。父親がヤクザの助手・はらわたくんが、事件ごとに少しずつ成長していく姿に、まるで少年漫画の熱さを感じました。
(40代女性)
9位:暗約領域 新宿鮫
薬物の取引現場を張り込んでいた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は、男の銃殺死体を発見した。新上司・阿坂景子は鮫島に、新人の矢崎隆男と組んでの捜査を命じる。男は何者で、なぜ殺されたのか!? 一方で、鮫島と因縁のある国際的犯罪者・陸永昌や元公安刑事・香田に不審な動きが――。シリーズ最大のボリュームと壮大なスケール! ラストまで一気読みの傑作長編!
読んだ感想
あかりちゃんの推し活、自分の推し活と重なって泣けました。SNSっぽい感じなのに、すごくグッときました。久しぶりに小説にハマりました。
(20代女性)
推しのためならどこまでも…という純粋さに心打たれました。宇佐見りんさんの文章が綺麗で、あっという間に読めてしまいました。現代の日本文学の新しい形を感じる良作だと思います。
(40代男性)
10位:不穏な眠り
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。
NHKドラマ化で話題の人気シリーズ!ミステリ専門書店でアルバイトとしながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている葉村晶に今日も事件の依頼が……。
「水沫(みなわ)隠れの日々」
終活で蔵書の処分を頼んできた女性のもう一つの依頼は、死んだ親友の娘を刑務所から連れてきてほしいということだった。刑務所から女性の元に向かう道で、娘は拉致される。「新春のラビリンス」
大晦日の夜、解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることに。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。「逃げだした時刻表」
葉村の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに思わぬ展開に。「不穏な眠り」
相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。女を連れ込んだ男の家を訪ねたところ、男の妻に危うく殺されかける羽目に。
読んだ感想
日常の“ささいな不運”が積み重なってしまう女探偵・葉村晶の姿に、思わず共感。けれど彼女の揺るがない芯と推理力が光っていて、最後には「この人だからこそ勝てたんだ」とすっきり納得できる展開でした。
(40代男性)
アルバイトに探偵にと多忙な晶。読むたびに「本当に不運なのは彼女じゃなく、悪人たちじゃ…?」と思わせる、事件の裏にある人間の浅ましさへの視点が面白かったです。苦さと温かさが混じった後味が印象的でした。
(30代女性)
このミステリーがすごい!2021年〈海外ベスト10〉結果まとめ

このミステリーがすごい!2021年〈海外ベスト10〉の結果を紹介します。
まずは結果一覧をお見せしますね↓
順位 | 作品名・受賞者 | \無料体験で0円/ オーディブル対象 |
---|---|---|
1位 | その裁きは死 (アンソニー・ホロヴィッツ) | 0円で聴く > |
2位 | ザリガニの鳴くところ (ディーリア オーエンズ) | 0円で聴く > |
3位 | 指差す標識の事例 (イーアン・ペアーズ) | – |
4位 | 死亡通知書 暗黒者 (周浩暉) | – |
5位 | パリのアパルトマン (ギヨーム・ミュッソ) | – |
6位 | 天使は黒い翼をもつ (エリオット・チェイズ) | – |
7位 | 警部ヴィスティング カタリーナコード (ヨルン・リーエル・ホルスト) | – |
8位 | 時計仕掛けの歪んだ罠 (アルネ・ダール) | – |
9位 | あの本は読まれているか (ラーラ・プレスコット) | – |
10位 | 三分間の空隙 (アンデシュ ルースルンド) | – |
海外1位:その裁きは死

作品名 | その裁きは死 |
---|---|
著者 | アンソニー・ホロヴィッツ |
出版社 | 東京創元社 |
【3年連続ミステリランキング4冠!】
*第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』海外編
*第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 海外部門
*第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇
*第1位『2021本格ミステリ・ベスト10』海外編
3作品で累計15冠、58万部突破!
『カササギ殺人事件』『メインテーマは殺人』の著者が贈る、
驚嘆確実の犯人当てミステリ!
著者ホロヴィッツと元刑事の探偵が、弁護士の殺人事件に挑む
実直さが評判の離婚専門の弁護士が殺害された。裁判の相手方だった人気作家が口走った脅しに似た方法で。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた数字“182”。被害者が殺される直前に残した謎の言葉。脚本を手がけた『刑事フォイル』の撮影に立ち会っていたわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、奇妙な事件の捜査にふたたび引きずりこまれて──。年末ミステリランキングを完全制覇した『メインテーマは殺人』に並ぶ、シリーズ第2弾! 驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。
読んだ感想
手紙や証言じゃなく、現場に残された「182」の数字と不可解な状況だけで謎を解いていくミステリー。誰が、なぜ。ホーソーン探偵と作家としてのホロヴィッツが一緒に真相に迫る姿が、面白くて最後まで読ませる展開でした。
(30代男性)
前作よりずっと読みやすい。事件の手がかりは全部読者に渡されてて、どんでん返しは派手じゃないけど納得感あり。じわっと心を動かす余韻が残る、王道の本格推理でした。
(20代女性)
海外2位:ザリガニの鳴くところ

作品名 | ザリガニの鳴くところ |
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著者 | ディーリア・オーエンズ(著) 友廣 純(訳) |
出版社 | 早川書房 |
ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか
読んだ感想
ケイア(通称「湿地の少女」)が、家族から見放され、湿地帯で自立していく姿は、圧倒的な強さと孤独が共存していて胸が締めつけられました。自然を「家族」にし、そこで生きるすべを学び取る描写が詩的で美しい。読後には、自然の中でこそ人は本来の自分を見つけられるのかもしれないという深い余韻が残ります。
(30代男性)
殺人事件、法廷劇、ロマンス——ミステリー要素も十分に楽しめる一方で、最も心に響くのは街ではなく湿地で学んだ「生きる力」と「信頼」の描写でした。ケイアが教わる鳥や貝の観察や、それを丁寧に表現する文章に、不思議と温かさを感じます。人は他人との関わりだけでなく、自然とのつながりからも救われるのだと教えてくれた一冊です。
(20代女性)
海外3位:指差す標識の事例
作品名 | 指差す標識の事例 |
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著者 | イーアン・ペアーズ |
出版社 | 東京創元社 |
『薔薇の名前』×アガサ・クリスティ!
オックスフォードで勃発した毒殺事件。
その経緯を綴る4人の手記によって、
真実は目まぐるしく姿を変える――
ミステリの醍醐味あふれる至高の傑作
1663年、クロムウェルが没してのち、王政復古によりチャールズ二世の統べるイングランド。医学を学ぶヴェネツィア人のコーラは、訪れたオックスフォードで、大学教師の毒殺事件に遭遇する。誰が被害者の酒に砒素を混入させたのか? 犯人は貧しい雑役婦で、怨恨が動機の単純な殺人事件と目されたが──。衝撃的な結末で終わる第一の手記に続き、同じ事件を別の人物が語る第二の手記が始まると、物語はまったく異なる姿になり──。『薔薇の名前』とアガサ・クリスティの名作が融合したかのごとき至高の傑作!
読んだ感想
4人の語り手がそれぞれ「自分視点」で語る事件に、最初は戸惑いつつも、だんだん「ああ、みんな少しずつ違うこと言ってるな」と気づいていくのが面白かったです。読み進めるうちに、謎が深まってやめられなくなる小説です。
(20代男性)
17世紀のオックスフォードを舞台に、毒殺事件をそれぞれ別の視線で描く構造が新鮮。誰かを信じた瞬間に“裏切られ”て、また新たな真実が顔を出す。それを積み重ねていく展開が気持ちよかったです。
(30代女性)
海外4位:死亡通知書 暗黒者
死すべき罪人の名をネットで募り、予告殺人を繰り返す劇場型シリアルキラー〈エウメニデス〉。挑戦状を受け取った刑事・羅飛は事件を食い止めようと奔走するが……果たして命を懸けたゲームの行方は? 本国でシリーズ累計120万部突破の華文ミステリ最高峰
読んだ感想
次々と予告される殺人は、まるでショーのようで、でも侮れないロジックがしっかり組まれている。捜査チームが一枚岩じゃないところもスリリング。豪華でスピーディーな中国発ミステリが読みたい人には、まさにドンピシャです。
(20代男性)
登場人物がみんな怪しくて、誰を信じればいいのか分からない緊張感がずっと続く。主人公の羅飛も、最後にはかなり悩ましい選択をして…読後は「ホントによくできてるなあ」としみじみ感嘆しました。シリーズ第1弾として、続編が待ち遠しい一冊です。
(30代女性)
海外5位:パリのアパルトマン
【フランスで160万部突破の大ベストセラー日本上陸!】
【急死した天才画家が遺作に託した驚愕の真実とは!?『ブルックリンの少女』の著者ギヨーム・ミュッソが放つ待望の新作ミステリー!】
それぞれ別の目的でパリにやってきた元刑事のマデリンと人気劇作家のガスパール。
マデリンは傷心を癒すため、人間嫌いのガスパールは執筆で缶詰になるため。
この他人同士の男女は偶然、同じ不動産レンタルサイトで一件家を予約するが、当日にダブルブッキングが判明。反りの合わない2人は互いに一歩も譲らない。
だが、当の家が1年前にニューヨークで急死した天才画家ショーン・ローレンツの元アトリエと知ると、彼らは次第に画家とその作品に惹かれていき、未発見の遺作3点が存在するという情報を得て行方を探し始めるが……。
絵に隠された秘密に導かれて突き進む2人を待ち受けていた、誰にも予想できない衝撃の真実とは!?
読んだ感想
パリで偶然同じアパルトマンを予約した元刑事と劇作家。古いアトリエに隠された画家の遺作を探すうちに、自分たち自身の過去にも向き合う展開にじんわり感動。最後のどんでん返しが控えめなのに胸に刺さって、読む手が止まらなかった作品でした。
(20代男性)
最初はテンポよくて軽い恋愛風かと思いきや、一転して画家の悲しい事情や家族の苦しみが浮き彫りに。笑いと切なさのバランスが絶妙で、読後は心がほっこりするだけでなく、“再生”の余韻が長く残る温かいミステリーでした。
(30代女性)
海外6位:天使は黒い翼をもつ
作品名 | 天使は黒い翼をもつ |
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著者 | エリオット・チェイズ |
出版社 | 扶桑社 |
明日なき逃亡、破滅への傾斜、究極の愛憎劇――!
故・小鷹信光氏がこよなく愛した、
忘れられたノワールの傑作が、
ついにそのヴェールを脱ぐ! !巻末に、評論家・吉野仁氏による18頁に及ぶ渾身の解説付き!
ホテルで抱いた女は、三日して部屋を出るとき、俺と一緒だった。
最初は、南へ向かう旅の途中で捨てるつもりだった。
でも「悪い金なんてない」と言い放つ女には見るべきものがあった。
俺には計画があった。
一緒に脱獄するとき命を落とした仲間が残した、とびきりのヤマが。
そして、計画には相棒が必要だ……。80年代に再発見され、
「完璧なる強盗小説」と激賞された究極のノワールが、
ついにそのヴェールを脱ぐ。
故・小鷹信光氏が心から愛した
破滅と愛憎の物語を魂に焼き付けよ!
読んだ感想
1950年代のノワールを感じさせる一人称語りに、脱獄囚の主人公と魅惑的な女の関係が切なくも引き込まれます。犯罪計画、破滅への予感、深い立井——全てがノスタルジックなスリルで彩られていて、読み終えた後も余韻が残る作品でした。
(20代男性)
計画から破滅へと向かう“犯罪の旅路”に、ふと心がざわつきました。堕ちていく運命と、そこにある淡い希望が絶妙なバランス。決定的な展開というより「この先どうなる?」というじわじわ感が楽しめるノワールでした。
(30代女性)
海外7位:警部ヴィスティング カタリーナコード

作品名 | 警部ヴィスティング カタリーナコード |
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著者 | ヨルン・リーエル・ホルスト |
出版社 | 小学館 |
2019年北欧ベスト・ミステリー受賞作!
「ガラスの鍵」賞、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞の三冠に輝いた『猟犬』の警部ヴィスティングが帰って来た!
2015年の『猟犬』以来、久々の邦訳となった本作は、2019年英国ペトローナ賞(英訳北欧ミステリ・オブ・ザ・イヤー)受賞作である。
著者のヨルン・リーエル・ホルストは、自身が警察官出身。ノルウェーの警察小説の第一人者として、本国ノルウェーのみならず、北欧各国、英語圏で人気を博している。ノルウェー南部の小都市、ラルヴィク警察犯罪捜査部の警部ヴィリアム・ヴィスティングが、謎の失踪を遂げたカタリーナ・ハウゲンの行方を追い始めて24年がたっていた。ヴィスティングは毎年、事件が起きた十月十日になると、夫のマッティン・ハウゲンを訪ねていた。24年目の十月十日も同じように訪ねたが、マッティンは不在だった。異例のことだった。
明くる日、オスロの国家犯罪捜査局(クリポス)未解決事件班の捜査官アドリアン・スティレルが来訪する。スティレルは、カタリーナ事件の2年前に起きたナディア・クローグ誘拐事件の再捜査を始めていた。事件は殺人事件と見なされ、その最重要被疑者として名前が挙がったのがマッティン・ハウゲンだった。
スティレルがヴィスティングに言う。「力を貸していただきたい。ハウゲンと親しいあなたに」
ヴィスティングは了承のしるしに短くうなずき、こう続けた。「一点だけ問題がある。マッティン・ハウゲンが消えた」
読んだ感想
荒々しさや派手な展開はないのに、警部ヴィスティングの“地味な努力”が逆に心に残る作品でした。静かな湖面が静寂のまま波紋を広げていくような捜査の進め方が、静かに胸に沁みていきます。
(30代男性)
24年前の未解決事件に執着する警部の姿が胸にしみました。毎年事件の記録を見返し、失踪者の夫を訪ねるその「継続する思い」が、そのまま物語の温度になっている気がします。真実より、人に寄り添うミステリです。
(40代女性)
海外8位:時計仕掛けの歪んだ罠
作品名 | 時計仕掛けの歪んだ罠 |
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著者 | アルネ・ダール |
出版社 | 小学館 |
スウェーデン売上1位の傑作犯罪サスペンス。
15歳の少女3人の連続失踪事件を追うベリエル。目撃の通報を受けて急行するも、3度とも現場はもぬけの殻で、彼は苛立ちを募らせていた。事を荒立てたくない上司の警告をよそに、殺人事件だと確信し捜査に執念を見せるベリエルはやがて、それぞれの現場写真に映る不審な女に目をつける。緊迫の攻防、息を呑む逆転劇、衝撃の真相……。ここまで目を見張る取り調べシーンがかつてあっただろうか。ページをめくる手が止まらない、スウェーデンNo.1ベストセラーの傑作犯罪サスペンス!
読んだ感想
暗い誘拐事件から始まる捜査が、序盤からどんどん予想を裏切って進んでいく緊張感がすごかったです。取り調べや心理戦のシーンにも引き込まれ、気づいたときにはページをめくる手が止まらなくなっていました。
(40代男性)
主人公ヴィスティング警部の執念深さにリアルさを感じつつ、ストーリーが進むほどに “どこまで信じていいか” わからなくなる不信感が心地いい。最後には素直に「すごい仕掛け…!」と唸ってしまう一冊でした。
(20代女性)
海外9位:あの本は読まれているか
作品名 | あの本は読まれているか |
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著者 | ラーラ・プレスコット(著) 吉澤康子(訳) |
出版社 | 東京創元社 |
一冊の小説が世界を変える。
それを、証明しなければ。
冷戦下、超大国ソ連と戦うCIAの女性たちを描く傑作長編!
【第3位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10】
冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われる。だが実際はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けて、ある特殊作戦に抜擢された。その作戦の目的とは、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。そう、文学の力で人々の意識を、そして世界を変えるのだ。一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描く傑作長編!
読んだ感想
冷戦下のアメリカとソ連を舞台に、「ドクトル・ジバゴ」の禁書解除を仕掛ける女性たちの物語に胸が熱くなりました。史実をベースにしたスパイ作戦と濃密な人間ドラマが融合し、読み始めはやや戸惑ったものの、その没入感は圧倒的。女性同士の連帯と、それぞれが抱える思いが静かに胸に刺さる一冊でした。
(40代男性)
まるでスパイ映画のような展開なのに、実際にあったCIAの作戦をモデルにしていると知って驚きました。特にタイピストたちの日常の描写には、仕事の裏で奮闘する彼女たちの苦労と誇りがにじんでいて、大きなテーマとして「文学の力」と「女性たちの闘い」が静かに胸に残ります。
(30代女性)
海外10位:三分間の空隙
作品名 | 三分間の空隙 |
---|---|
著者 | アンデシュ ルースルンド |
出版社 | 早川書房 |
中南米の麻薬組織で窮地に立たされた潜入捜査官。彼を救う鍵はグレーンス警部――名作『三秒間の死角』に連なるシリーズ最高傑作
読んだ感想
潜入捜査官ピート・ホフマンの命運が、まさに際どい「三分間」にかかっている……と思わず息を呑みました。コロンビアのゲリラ地帯での闇と緊張感が手に触れるようで、読んでいる間はまったく止まれなかったです。
(30代男性)
グレーンス警部とホフマン、二人の異なる視点が交差しながら展開するストーリー構成が絶妙。どこか泥臭い人間臭さがある中で、極限状態に置かれた精神のぶつかり合いに引き込まれました。
(30代女性)
まとめ:このミステリーがすごい!2021は、ぜひノミネート作品も含めて読んでみよう

このミステリーがすごい!2021年の受賞作品を紹介してきました。
興味のある本があったら、ぜひ手にとって読んでみてくださいね。
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