「芥川賞ってどんな文学賞なの?」
「創設者や賞金、最年少記録など詳しく知りたい」
毎年、本屋やメディアなどで見かける芥川賞。
「実は、どんな賞なのかよく知らないんだよね…」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、芥川賞について以下の内容を徹底解説しています。
- 芥川賞とは?
- 芥川賞の由来となった人物は?
- 芥川賞の創設者は誰?
- 芥川賞は年に何回ある?
- 芥川賞の賞金はいくら?
- 芥川賞の「最年少受賞者」と「最年長受賞者」は?
記事を読むことで、芥川賞について詳しく理解することができますよ。
芥川賞とは?

芥川賞は日本を代表する文学賞の一つで、純文学作品※に贈られる栄誉ある賞です。
正式名称は「芥川龍之介賞(あくたがわりゅうのすけしょう)」。
1935年の創設以来、毎年1月と7月の年2回発表され、受賞作は『オール讀物』(文藝春秋社発行)に掲載されます。
当初から新人作家の登竜門として位置づけられ、現在でも新人作家の発掘・育成に重要な役割を果たしています。
純文学というのは、「娯楽(エンタメ)」ではなく「芸術性(人間の思考などを含む)」に重きを置いている作品のこと。
純文学では、「人生とは?」「今の社会は果たしてこのままでいいのか」「人間の心の動きはどう変わるのか」などについて深く掘り下げて表現されています。
純文学作品を読んだ後の感想は
「なるほど…」「うーん、本当にそうなのかな」「そういう気持ちだったのか」
などといったように、自分の思考が揺さぶられることが多いです。
一方、純文学と対比でよく使われるのが「大衆文学」。
大衆文学作品は、娯楽(エンタメ)目的で書かれるため、ストーリー性があり、読みやすいのが特徴です。
ミステリー・恋愛・冒険などがテーマのものは、基本的に大衆文学だと思ってよいです。
大衆文学作品を読んだ後の感想は
「あー!面白かった!」「感動した…!」「ドキドキした〜」
などのようになることが多いです。
芥川賞の由来となった人は?

芥川賞の名前の由来となった人は、作家の芥川龍之介(本名:芥川龍之介)。
1892年に東京で生まれた天才的な作家。
明治から大正、昭和初期にかけて活躍し、日本の近代文学を代表する作家の一人として知られています
東京帝国大学(現・東京大学)在学中から「羅生門」「鼻」などの作品を発表し、夏目漱石門下生として注目を集めました。
独特の写実的な描写と斬新な構成で知られ、多くの名作を生み出しました。
しかし、1927年に35歳という若さで自ら命を絶ってしまいます。
芥川龍之介が命を経つ前にどのようなことを考えていたのかは、晩年の作品「河童」「歯車」などの作品に表現されています。
その後、彼の文学的功績を称え、純文学の新人作家の登竜門として、彼の名を冠した賞が創設されました。
芥川龍之介の代表作は?
芥川龍之介の代表作には、「羅生門」「鼻」「地獄変」「蜘蛛の糸」「河童」などがあります。
1915年 | 羅生門 |
1916年 | 鼻 |
1918年 | 蜘蛛の糸 |
1918年 | 地獄変 |
1919年 | 蜜柑 |
1920年 | 杜子春 |
1922年 | 藪の中 |
1922年 | トロッコ |
1923年 | あばばばば |
1924年 | 桃太郎 |
1927年 | 河童 |
1927年 | 歯車 |
1927年 | 或阿呆の一生 |
\芥川龍之介の全てが読める(しかも破格)/
特に「羅生門」は黒澤明監督によって映画化され、世界的な評価を受けています。
彼の作品は、古典の素材を現代的に再解釈したものや、鋭い人間観察に基づく心理描写など、多彩な作風で知られています。
芥川賞の創設者は?

芥川賞は、文藝春秋社の創業者である菊池寛(きくちかん:本名の読み方は”きくちひろし”)によって創設されました。
1935年に直木賞と芥川賞と同時に創設し、ご存知の通り、両賞は今でも日本の文学界において非常に重要な役割を担っています。
また、菊池寛自身も人気作家として活躍しており、代表作には、「忠直卿行状記」「真珠夫人」などがあります。
芥川賞は年に何回ある?

芥川賞は年に2回、7月(上半期)と1月(下半期)の発表があります。
上半期は、
- 前年12月1日〜5月31日までに発表された作品が対象に選考
- 6月中旬に候補作発表
- 7月に受賞作品発表
というスケジュール。
下半期は、
- 6月1日〜11月30日までに発表された作品が対象に選考
- 12月中旬に候補作発表
- 1月に受賞作品発表
となっています。
最近の芥川賞の発表日を遡ってみると
- 2024年
- 下半期:2025年1月15日(水)
- 上半期:2024年7月17日(水)
- 2023年
- 下半期:2024年1月17日(水)
- 上半期:2023年7月19日(水)
- 2022年
- 下半期:2023年1月19日(木)
- 上半期:2022年7月20日(水)
となっています。(水曜日に発表されることが多いですね)
芥川賞の賞金は?

芥川賞の受賞者には、
- 正賞:懐中時計
- 副賞:賞金100万円
が授与されます。
複数の受賞者がいる場合でも、懐中時計・100万円がそれぞれもらえます。
ちなみに、なぜ懐中時計が贈られるのかというと、
芥川賞が創設された時代は、生活に苦しむ作家が多くいたため、換金可能で当時高価だった”懐中時計”を正賞とすることに決めた
と、芥川賞創設者である菊池寛が選んだのが理由だそうです。
では、芥川賞の懐中時計、実際に売ったらいくらになるのでしょうか。
実は、2004年「介護入門」で芥川城受賞したモブノリオさんが、正賞の懐中時計をメルカリに出品しています。
出品の価格は、
844万円→500万円→420万円(執筆時)
と変化しています。
いつか売れる日が来るのでしょうか。気になりますね!
芥川賞作家の最年少・最年長記録は誰?

最年少記録は「綿矢りさ」
芥川賞の最年少受賞記録は、第130回(2003年下半期)『蹴りたい背中』で受賞した綿矢りさ。
受賞時の年齢は、19歳11ヶ月でした。
ちなみに、最年少受賞記録の2位は、同じく第130回(2003年下半期)『蛇にピアス』で受賞した金原ひとみ(20歳5ヶ月で受賞)です。
最年長記録は「黒田夏子」
芥川賞の最年長記録は、第148回(2012年下半期)『abさんご』で受賞した黒田夏子。
受賞時の年齢は、75歳9ヶ月でした。
ちなみに、最年長受賞記録の2位は、第158回(2017年下半期)『おらおらでひとりいぐも』で受賞した若竹千佐子(63歳で受賞)です。
これまでの芥川賞作品にはどんなものがある?

直近5年間の芥川賞受賞作品には、以下のようなものがあります。
- 第172回(2024下)『DTOPIA』安堂ホセ
- 第172回(2024下)『ゲーテはすべてを言った』鈴木結生
- 第171回(2024上)『サンショウウオの四十九日』朝比奈秋
- 第171回(2024上)『バリ山行』松永K三蔵
- 第170回(2023下)『東京都同情塔』九段理江
- 第169回(2023上)『ハンチバック』市川沙央
- 第168回(2022下)『この世の喜びよ』井戸川射子
- 第168回(2022下)『荒地の家族』佐藤厚志
- 第167回(2022上)『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子
- 第166回(2021下)『ブラックボックス』砂川文次
- 第165回(2021上)『貝に続く場所にて』石沢麻依
- 第165回(2021上)『彼岸花が咲く島』李琴峰
- 第164回(2020下)『推し、燃ゆ』宇佐見りん
- 第163回(2020上)『首里の馬』高山羽根子
- 第163回(2020上)『破局』遠野遥
それぞれの作品の詳細や、それ以前の芥川受賞作品を詳しく知りたい方は、【歴代】芥川賞受賞作品の一覧まとめ記事をご覧ください↓
準備中
芥川賞とは?全貌まとめ

芥川賞について紹介してきました。
まとめると、
- 芥川賞の概要
- 日本を代表する純文学作品に贈られる文学賞
- 正式名称は「芥川龍之介賞」
- 1935年の創設以来、新人作家の登竜門として重要な役割を果たす
- 年2回(1月と7月)発表され、受賞作は『オール讀物』に掲載
- 芥川賞の由来と創設
- 芥川龍之介(1892-1927)の功績を称えて命名
- 文藝春秋社創業者の菊池寛によって1935年に創設
- 直木賞と同時に設立
- 賞の運営と選考
- 上半期(12月1日~5月31日の作品)は7月発表
- 下半期(6月1日~11月30日の作品)は1月発表
- 受賞者には正賞として懐中時計、副賞として100万円が授与
- 受賞者の記録
- 最年少受賞:綿矢りさ(19歳11ヶ月)『蹴りたい背中』
- 最年長受賞:黒田夏子(75歳9ヶ月)『abさんご』
- 近年は『DTOPIA』『推し、燃ゆ』『首里の馬』など多様な作品が受賞
芥川賞は90年近い歴史を持つ日本の代表的な文学賞として、今なお新人作家の発掘と純文学の発展に貢献し続けています。
純文学作品を通じて人間や社会について深く考察する機会を提供する場として、これからも重要な役割を果たしていくでしょう。
他にも芥川賞まとめを見る
歴代の芥川賞受賞作品まとめはこちら↓

歴代の芥川賞売上ランキングはこちら↓

文庫本化された芥川賞作品はこちら↓

歴代の芥川賞受賞作家(男性・女性別)一覧はこちら↓

オーディブル(無料体験)で聴ける芥川賞を聴きたい人はこちら↓